ざっくり。ヒラタ語り。参:ダメ。ゼッタイ。

ざっくりとヒラタクワガタにまつわる諸々をお届けします。
無銘何処守権兵衛です。

今回は、昆虫を飼育する以上は良く認識して頂きたい”放虫問題”について。

当店でも商品ページ下部に、このように記載しておりますが、

放虫について

そもそも、”放虫行為”はなぜいけないことなのか、ざっくりと解説していこうかと思います。
さらに、ヒラタクワガタのグループの場合、放虫の影響は特に深刻です。
”知らなかった”では済まされないレベルの事態も起こり得えますので、ヒラタ愛好家の方も、そうでない方も、ぜひ一読をお願いします。

まず基本として、”放虫”をしてはいけない主な理由としては

・外国産昆虫と国内の昆虫が競合し、帰化してしまう可能性

・国内産の近縁種と交雑し、遺伝子汚染を引き起こす可能性

の2つがメインですね。

このうち、2番目の「近縁種と交雑し、遺伝子汚染を引き起こす可能性」について、その影響がヒラタクワガタの場合特に深刻です。

昨今、外国産マルバネクワガタの一部が特定外来生物に指定されたことは、記憶に新しいですね。
彼らが規制された理由としては、まさに上述の2つです。

ヒラタクワガタの場合、外国産と国産ヒラタが容易に交雑してしまうことが、過去の実験結果から得られています。
例えば、本土ヒラタとスマトラオオヒラタのF1にも繁殖能力が認められ、交雑個体として代を続けることができる ということも報告されています。

また、外国産だけでなく、離島のヒラタも同様です。
さらに言えば、本土産であっても異なる地域で採集したヒラタでも同様です。

外見上は似たり寄ったりの”ヒラタクワガタ”ですが、交雑により遺伝子汚染が起きてしまった集団を、元の純系の集団に戻すことはできません。

ヒラタクワガタは多くの個性的な亜種があり、その進化的背景が興味深く、そのうえ入手しやすく、とてもカッコいい、大変魅力的なクワガタです。
彼らが多種多様な亜種に分化してきた背景には、何千年もの時間が掛かっています。
”放虫”という行為は、彼らがそれだけの時間を費やして紡いできた歴史を、”交雑”という形で

跡形も無く破壊します。

ここ数年でも、遺棄された外国産ヒラタが野外で見つかったという悲しい報告があるようです。
このような報告が数多くあがってきてしまうようでは、
真っ先に規制の対象となるのはヒラタクワガタのグループでしょう。
それだけでなく、ひいてはすべての外国産昆虫が、マルバネクワガタのように規制の対象になり、飼育を楽しむことそのものが許されなくなってしまうかもしれません。

”飼いきれなくなったから可愛そう。逃がしてあげよう。”

その優しさが、彼らを破滅へと導きます。

もし何らか事情で手放さざるを得なくなった場合、その時は標本にしてしまうのが、長い目で見て彼らの進化の歴史を守るためには最善です。
冷凍庫に3時間も入れて置けば、標本になるでしょう。

放虫。ダメ。ゼッタイ。
魅力的な昆虫飼育を長く続けていくためにも、絶対にやめましょう。

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