ざっくり。ヒラタ語り。漆:和製パラワン

ヒラタにまつわるあれやこれやをざっくりとお届けします。
無銘何処守権兵衛です。

今回は和製パラワンことツシマヒラタを紹介します。
ストックにちょっと前まで居たんですがね・・・。
記事自体はストック中に書いていたのですが、何やかんやしている間に売れちゃいました。

ツシマヒラタ
Dorcus titanus castanicolor
対馬産 ♂ 72mm
真上から。
ちなみに学名の”castanicolor”とは”栗色”という意味。
バッチリ、黒虫ではあるのですが…。

オオアゴが長いため、一見パラワンオオヒラタとよく似ていますが・・・

左:パラワン
右:ツシマ

こうして比較すると、オオアゴ長めで内歯下がり、先端歯の発達は目立つ。
といった形で、アアオゴの発達の傾向は似ていますね。
サイズが異なるのは当然ですが、しかしよく見ると結構違う面も見られます。


そう、例えば頭楯とか。

ツシマヒラタの方が、頭楯は前に付き出したような形状をしていますね。
その他にも、70mm程度のサイズで比較すると、ツシマは大型個体となりますがパラワンとしては小型個体となるため、このサイズのパラワンは結構テカテカだったりします。
小型サイズのパラワンオオヒラタは意外と入荷が少ないですが・・・
もし手に入れる機会があったら、ぜひ比べてみてくださいね。

また、ツシマヒラタとよく似た特徴を示す亜種に

・ゴトウヒラタ Dorcus titanus karasuyamai
・イキヒラタ Dorcus titanus tatsutai

他に、本土ヒラタ Dorcus titanus pilifer扱いとなっていますが、九州北部の一部個体群も同様の特長を示すものが存在すると言われています。
現地ではアゴの短い”本土タイプ” アゴの長い”対馬タイプ”と呼ばれる2形が採れるんだとか。

ゴトウヒラタとイキヒラタは、ツシマヒラタと遺伝的にはほぼ同等らしく、九州北部は本土ヒラタとの自然交雑集団が存在するらしいです。
まさに進化の真っ最中なのかもしれませんね。
(加えるなら、宗像大島、地島、相島、志賀島、玄海島 といった、福岡県の離島に分布するヒラタを調べてみると、さらに面白いことが分かるかもしれません。)

・・・という事情が分かってくると、九州北部離島のヒラタって大変興味深いですよね。
では今回はこの辺で。
また入荷するといいですねー。

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