ざっくり。ヒラタ語り。その捌:はじめての蹂躙

今回は少し趣を変えて。
ティタヌスではない(かもしれない)ヒラタを紹介します。
ティタヌス中心の流れ、ここではじめて塗り替えてしまいます。

どうも、無銘何処守権兵衛です。

今回は入荷個体から、

ダイオウヒラタクワガタ♂ 81mm
Dorcus bucephalus
東ジャワ アルゴプーロ産

ダイオウヒラタクワガタを紹介します。
ジャワ島特産種で、インドネシア便のクワガタとしてはお馴染みのラインナップの一つですね。
今回入荷の個体の最大体長は81mmです。

オオアゴが湾曲しているため、”全長計測”には不利な形状ですが、そのぶん、数字よりも迫力が増して見えるのが、ダイオウヒラタの特長ともいえるでしょう。
でかい・強い・価格もお手頃。
外国産クワガタの飼育がはじめて、という方にもおすすめできます。
スラウェシヒラタと同様の理由で、こちらも人気種です。

よくtitanus亜種間での見分けるポイントとして、内歯の形状と頭楯が挙げられますが、ダイオウヒラタでもここに着目して見てみましょう。

全体的に、太くてどっしり。
オオアゴと頭楯の形状に着目してみましょう。

形状はティタヌスのカタチがベースですが、

・オオアゴが内向きに強く湾曲している点
・頭楯が山なりに付き出す点

はダイオウヒラタの”個性”と呼べる点ですね。

また、ダイオウヒラタが面白い点としては、♀が他のティタヌスと比べて割と趣が違うことも挙げられます。

ダイオウヒラタ♀
東ジャワ アルゴプーロ産
おしりのあたりに注目。

じっくり見ると…
割とモフモフしているのです。
前翅も若干毛濃い感じがするのです。
今まで特に気に留めてなかった方、ぜひ触ってみてください。
思ったより、モフモフです。
このモフモフは、オキノエラブヒラタのそれに通じます。

さて、このダイオウヒラタは、見た目は若干ティタヌスに通ずる部分もありますが、学名は

Dorcus bucephalus

とtitanus種群ではなく、独立種とされています。

なお、この”bucephalus”とは、
紀元前336-323年頃のマケドニア王、アレクサンドロス3世の愛馬”ブケファラス”から取られています。
なぜ馬?と思われるかもしれませんが、このブケファラスには牡牛のような角が生えていたという伝説が残されています。
ダイオウヒラタの湾曲したオオアゴをこの形に準えて命名されたのでしょうね。
実際、ダイオウヒラタはサイズが同程度の相手であれば、かなり高い戦闘能力を誇るようです。

上で挙げたように、ティタヌスとは別種、とされているのですが…
実はティタヌスとの交雑報告が知られており、F2まで累代ができた、という報告があるようです。
遺伝的には既に知られているティタヌス種群よりは離れる物の、他のヒラタよりはかなり近縁、という結果が得られているようです。

そのため、もしかすると・・・?
研究が進めば、実はティタヌス種群の一員だった、ということもあり得るのかもしれません。
ティタヌスとの共通祖先が、古い時代にジャワ島で独自に進化を遂げたものが、このダイオウヒラタなのかもしれません。

ネシア便でごくごく一般的に入荷するダイオウヒラタですが、これもスラウェシヒラタとはまた違う魅力が詰まっていると言えるでしょう。
安価で初心者向け、と括らずに、ぜひ再注目してみてくださいね。

あ、各サイズ入荷してます。

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